第40回(2022年度)日本映画復興賞に
「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯」

★5月27日―日本映画復興賞 贈呈式開催★



▲(向かって左から)=日本映画復興奨励賞・『長崎の郵便配達』川瀬美香監督/同復興奨励賞・『失われた時 の中で』坂田雅子監督/日本映画復興賞・『わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯』(『製作を支援する全国 の会』 藤田廣登)/日本映画復興平和賞・山口逸郎プロデユーサー/同復興奨励賞・『教育と愛国』斉加尚代監督/同復興奨励賞・『こころの通訳者たち』山田礼於監督  (5/27午後、於・新宿農協会館)

 独立プロの伝統を引き継ぎ、故山本薩夫監督提唱の 「日本映画復興賞」の第40回(2022年度)贈呈式が去る5月27日午後、東京・新宿農協会館で開催されました。

 「復興賞」は、「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯」の桂壮三郎監督とこの映画の製作・上映運動を進める 「畑田重夫記念「映画製作を支援する全国の会」に与えられました。

 同「平和賞」には、山口逸郎プロジューサー、同「復興賞」には、『失われた時の中で』の坂田雅子監督はじめスタッフ一同、 『教育と愛国』の斉加尚代監督はじめスタッフ一同、『長崎の郵便配達』川瀬美香監督はじめスタッフ一同、 『心の通訳者たち』の山田礼於監督とシネマ・チュプキ・タバタの平塚千穂子代表、がそれぞれ受賞(発表順)しました。

社会的文化的に製作された 映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯」の授賞理由
日本映画復興会議・第40回「日本映画復興賞」の意義 (同復興会議発表文書全文)
 「2022年4月2日の完成披露試写会で桂監督が語ったように、日本がかつてアジアを侵略していたこと、 そしてそれに命がけで反対していた人たちを描いたこの映画が、ロシアによるウクライナ侵略が続く世界情勢の中で完成されたということに特別の意義があります。
  伊藤千代子は、諏訪高等女学校、私立尚絅女学校を経て東京女子大に入学後、社会主義研究会の活動に参加し、日本共産党に入党。特高警察に逮捕されて拷問を受けるも、 志を曲げずに闘い抜きました。
  その生き様を描いたこの映画は、戦前の絶対的天皇制の中でも、希望と展望を持ち、明るさを失わずに闘う女性たちの姿、日本共産党の活動や労働組合の闘いなど、 これまでの映画で描き切れなかった姿を描き出しています。
  新型コロナ感染拡大や製作資金などの困難を乗り越えて製作されたことや、国際政治学者の故・畑田重夫さんが生前会長を務めていた製作を支援する会の活動なども特筆すべき内容です。 その功績を称え、頭記の賞を送ります」 
受賞式 & 受賞記念上映運動全国交流会 開催
▲受賞記念の「盾」
民主的映画運動の栄誉賞である「日本映画復興賞」受賞式には、桂壮三郎総監督、出演俳優の印南唯(西村櫻東洋役)・塚瀨香名子(平川ふみ役)さん、 畑野君枝前衆院議員、映画評論家の羽渕三良、漫画家のワタナベ・コウさん、ライターのツルシカズヒコさんはじめ 「製作を支援する全国の会」に結集する東京年金者組合・野口洋子書記長、杉山文一前委員長らとともに治安維持法国賠同盟からは吉田万三会長、 小松実副会長、田中幹夫事務局長、榎本よう子・永島民男・中嶋郁雄事務局次長、藤田廣登・小池荘市両顧問、 北海道・山梨・長野・埼玉・千葉・東京などから45人が参加しました。
 受賞式冒頭あいさつで桂壮三郎監督(日本映画復興会議代表委員)は、「毎年日本では600本ほどの映画が製作されており、 その中から平和、人権、国民主権の三つの精神が貫かれているかどうかを選定の基準としている」と述べました。
▲日本映画復興賞の「賞状」と「記念の盾」を掲げて挨拶する藤田廣登氏

 受賞挨拶で、藤田廣登氏(「全国の会」事務局は、「この1年間で450会場、8万人余が鑑賞する大運動に発展した。
 伊藤千代子と治安維持法下の抵抗と闘いの総学習運動、治安維持法国賠同盟の提唱と底力、全民主勢力の共同の力が創り出したもので、 受賞名は「桂監督と映画製作を支援する全国の会」となっているが、この映画の製作・上映運動に携わった日本中のすべての人々に与えられた賞である。
 そして今、この映画が戦争する国へと暴走する岸田政権への反撃の原動力ともなっている」と述べました。

 「全国の会」を支える治安維持法国賠同盟の吉田万三会長は、「新コロナ禍のもとで治安維持法犠牲者の顕彰運動の一環として日本中の民主勢力と協同して取り組んだ。
 今、岸田政権が推し進めている大軍拡路線の情勢に、この伊藤千代子の作品はまさにタイムリーです。何とか工夫して多くの青年たちにみてもらい、 バトンタッチしていきたい」と述べました。

  次いで、「受賞記念上映運動全国交流会」が開かれ、小松実同盟副会長が挨拶、「受賞をバネに戦争する国づくりへの反撃を開始しよう、 治安維持法国賠同盟運動がその一翼を担おう」と呼びかけました。

 藤田廣登氏からは、「第3次上映運動では、現在の情勢を撃っていく意義を持つこの映画を今年中に10万人に、近い将来、人口比1000人に1人の鑑賞にまで高めよう」 と提起しました。

 交流会では、北海道・畠山忠弘・隼野弘子、山梨・田中鉄夫、長野・佐藤喜久雄、埼玉・大野辰男、千葉・小松敦、東京・中嶋郁雄氏らが 「取組みの報告と第3次上映運動への展望」を語り、全行政区・市町村、島嶼部への展開、青年層への働きかけや人口比での追求などを重視して取組むことが強調されました。

桂壮三郎監督ら―5・3憲法中央集会で訴え
▲「再び戦争と暗黒政治を許すな!」と憲法中央集会で訴える桂壮三郎監督(左から2人目)ら
 桂壮三郎監督は、5月3日の憲法中央集会場(有明防災公園)に参加、「再び戦争と暗黒政治を許すな!」の横断幕を掲げて、「わが青春……」の第3次上映運動では、「現在の政治・社会情勢-岸田政権の大軍拡と反国民性に真正面から切り結ぶ映画であることを明確にして取組もう」と訴えました。

  


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